商業・法人登記とは、株式会社や合同会社、社団法人、財団法人、NPO法人などの登記を指します。
会社についての重要な事項を記録し、一般に公開することによって、会社等の信用維持や、安心して取引できることを目的とするものです。
会社や法人の場合、登記をすることで初めて存在が認められます。まずは会社や法人の設立登記をする必要があります。
また、会社設立登記をしたらそれで終わりではありません。
設立登記後にも、社名(商号)を変更したり、目的を変更したり、役員が変更となった場合などが、その度に一定期間内に登記をすることが定められています。
これから、設立登記や各種変更登記について、株式会社や合同会社などを例に、簡単に説明していきます。
会社を設立する手続きは、簡単にいえば大きく3つに分けることが出来ます。
まずは「定款の認証」、会社に関する一定の約束事を作成して公証役場に確認してもらいます。
なお、この手続きは株式会社に適用されるもので、合同会社・合名会社・合資会社の場合は、公証人による定款認証は必要ありません。
次に「会社設立の登記」、会社の出生届にあたるもので、設立する会社の情報を法務局に登録する手続きです。
会社の所在地を決めたり、役員を決めたりして、設立登記申請を行います。登記申請の際に必要な登録免許税は会社の種類によっても異なり、株式会社は最低15万円、合同・合名・合資会社の場合は最低6万円が必要です。
会社設立登記が終わったても、「各種届出」が必要となります。
その他、税務署、年金事務所など各官庁に届出が必要なほか、金融機関で会社の口座を作るなどの手続きが必要になるでしょう。
会社設立後に、代表取締役、取締役、監査役などの役員に変更があった場合にも、登記が必要になります。
たとえば、役員就任、退任、辞任、解任などの組織の変更や、役員が死亡した場合などには、その事由を登記することが定められています。
また、取締役の氏名に変更があった場合にも、「役員変更の登記」が必要となります。
上記に挙げたような変更があった場合、2週間以内に法務局に変更登記申請をしなければならず、申請が遅れた場合には、過料に処されることがあります。
会社の本店・支店を移転、または支店を廃止する際にも、その旨の登記が必要となります。
変更の登記の期限は、本店を移転する場合は2週間、支店を移転する場合は3週間です。
それぞれの管轄の法務局への申請が必要となり、登記期限に遅れた場合は過料に処される恐れがあります。
本店・支店の移転・廃止の登記申請には、取締役会決議または取締役の過半数の一致が必要となります。
また、移転後の本店所在地や支店所在地が、定款の記載内容に相違がある場合には、株主総会の際に定款の変更決議をする必要もあります。
従来の管轄内で移転する場合であれは、従来の管轄の法務局に登記申請をします。
一方で、他の管轄に移転する場合は、従来の管轄の法務局と新しい管轄の法務局の両方に登記申請する必要がありますので注意が必要です。
会社成立後の変更登記には、上述した例の他にも、目的変更の登記や、資本金の額の変更登記が挙げられます。資本金の額も登記事項です。
会社の規模を知る目安のひとつといえますから、登記事項の中でも重要なもののひとつでしょう。
会社設立後に、新株発行によって資本金の額が増加したり、減資手続きによって減少したりします。
その会社が何をするために設立されたのかが第三者にもわかるように登記するのが、会社の事業目的の事項の登記です。
事業目的が会社設立後に変更されることもありますが、これを変更するためには、株主総会の特別決議が必要です。
その他にも、定款に記載された事項(絶対的記載事項)には、株主総会の特別決議を行う必要があります。
登記申請の期限は、目的及び資本金の額ともに、効力発生時から2週間以内と定められています。
会社が解散したときにも、その旨を登記しなければなりません。
定款に定めた解散事由が発生した場合や、株主総会で解散が決議されたときに加え、合併によって会社消滅する場合も、会社の解散に該当します。
合併に伴う消滅のときには、合併による解散登記を申請してください。
合併による解散登記をすることで、はじめてその会社の消滅が記録されます。
合併による消滅以外では、解散及び清算人選任の登記を申請する必要があります。解散及び清算人選任の登記を申請してもそれで会社が消滅するわけではありません。
会社を消滅させるための清算事務を完了させ、清算結了の登記をするという手続きが終われば、会社は消滅します。